離婚について
「離婚」に関するお話を伺ったのは … Nathan Ganapathi さん |
---|
1967年北海道大学卒業後、日本水産研究所で勤務。
イリノイ大学を経て1974年UBC law degreeを取得。
1975年、ガナパシ法律事務所設立。 1975年にガナパシ法律事務所を設立以来、多種に渡る多 国籍企業や個人の法律問題を扱っております。当社には2 人の弁護士がおり、主に離婚問題、ビジネス問題、遺書作 成、財産問題、移民問題、刑事法などを取り扱っておりま す。私たちは全てのクライアントが持つ問題の疑念や心配 などを解消することに努力しています。また、初めて訪れる お客様には30分の無料相談を提供しています。 |
Ganapathi & Company Tel. 604-689-9222 Toll Free. 1-866-689-9222 Fax. 604-431-9029 #302-1224 Hamilton St., Vancouver V6B 2S8 E-mail: nathan@ganapathico.com |
生活情報 > 離婚について > カナダで離婚する
離婚するには 離婚手続き 離婚訴訟 弁護士への依頼 各種サービス
カナダで離婚する
カナダの離婚率は50%とも言われています。愛し合って結婚した人 との別離の選択は結婚以上にパワーが必要です。離婚には親権問題 や養育費、生活費、資産分与など解決しなければならない問題もい くつかあります。
離婚するには
離婚の条件
ただ何となく気が合わなくなった、性格の不一致という理由で離婚は成立
しません。離婚をするにあたっては、「結婚生活に破綻があったという事
実」を法廷に証明しなければなりません。BC州で離婚が認められるのは
以下の場合のみです。
1)配偶者が離婚決定を行った後、最低でも1年以上の別居をしている場
合。この間、90日までの同居(和解を目的とした)があっても構いません。
2)結婚後、配偶者が不貞行為をはたらいた場合。
3)配偶者から、肉体的・精神的な苦痛(DV)を受けている場合。
現実問題として、2)と3)を証明することは非常に困難な上、時間と費用も
かかるため、1)を根拠に離婚申請をする場合がほとんどです。1年間の別
居を理由に離婚をする場合、別居開始後すぐに離婚手続きを開始できま
すが、離婚が認められるのは別居後1年経過してからです。
離婚を考えたら
相手の税金の申告書のコピー(養育費などの同意書を作成するのに必要)、当
面の生活費の確保、DVの被害がある場合は傷の写真や病院の証明、不貞
行為(浮気)の証拠など取っておくのも大事です。
離婚を成立させるには
-
離婚をするためには以下の3つを証明する必要があります。
- 結婚という事実があったこと(結婚証明書)
- 離婚の原因(上記3つのどれかに当てはまる原因)
- 全ての裁判所の命令、別居同意書(Separation Agreement)、家庭内の契
約(Domestic Contract)、その他、全て書面で書かれた同意書(子供がいる
場合は子供の養育費に関する取り決め等)。
離婚手続き
まずは別居同意書を作成し、裁判所に提出します。別居同意書の用紙は
書店でも購入可能です。この書類には、財産分与(不動産、貯蓄などの資産)、
子供が居る場合は子供の養育権及び養育費、子供との面会回数等の同意
内容を記載し、裁判所に提出します。同意書の作成は細かい内容まで話
し合う必要があるため、弁護士や調停員(Mediator)に作成してもらうこと
が多くなります。経済的な理由で弁護士を雇えない場合は、ファミリー・
ジャスティス・カウンセラー(無料)に相談することも可能です。別居開始か
ら1年が経過したら、裁判所に離婚申請書類を提出します。全ての手続き
が完了し、何も問題がなければ6週間から4ヶ月でDivorce Orderが届き、
その後約1ヶ月で離婚が成立します。別居期間も入れて、離婚成立までは1
年半から2年程時間を要します。
日本人が離婚する場合(どちらか一方が日本人の場合も含める)、総領事館へ
の離婚届けが必要です。手続きに関する詳細は日本総領事館領事事務案
内をご参照ください。
離婚訴訟
離婚訴訟の種類
-
離婚訴訟には大きく分けて2つのタイプがあります。
- Joint Action
お互いが離婚に同意し、共同で手続きを行う(filing jointly)。日本でいう 協議離婚。この場合は争いがないため、離婚も短期間で成立すること ができます。お互いが離婚に同意、親権の問題・養育費・財産分与等も お互いが納得し同意しています。*1) - Sole Action
Undefended DivorceとDefended Divorceがあります。 Undefended Divorceは配偶者の一方(原告)が離婚を希望し、もう一方 (被告)が申し立てに対して不服がない場合。一定期間が過ぎると原告の 言い分が認められます。
Defended Divorceは配偶者の一方(原告)が離婚を希望し、相手方が訴 えに対して不服があれば、裁判で争うことになります。この場合は専門 知識のある弁護士に相談することをお勧めします。
Joint ActionとUndefended divorceの場合は出廷せずに、離婚を成立 させることができます。
*1) 離婚の当事者同士が離婚に賛成している場合、弁護士を雇わなくても離婚成立は可能です。 書店でステップ毎に詳しく説明してくれるdo-it-yourself divorce を購入できます。
離婚訴訟の条件
-
離婚訴訟を申請するには配偶者のどちらか一人が最低でも1年以上BC州
に住んでいなければなりません。そこで受けられるサービスは
- 子供のサポート命令
- 配偶者のサポート命令
- 保護命令
- 命令の変更、撤回、保留
- 暫定的な命令 です。
離婚の際の係争点
離婚の手続きでは、親権の問題、財産分与の問題、養育費の問題を話し 合う必要があります。
親権の問題
-
親の性別に関係なく話し合い、子供の価値や将来など子供中心に決定し
ます。親権授与は以下の要因を考慮した上で判断されます。
- 子供の希望(子供が十分に判断できる年齢である場合)
- 親子間で愛情を伴うオープンな関係を許す心と能力
- 子供の健康・安全・幸福
- 子供や配偶者への虐待履歴(親が交際中の人物も含む)
- 親子関係の質と量
- 習慣的・持続的なアルコール飲用及び薬物使用
以上を考慮した上で、親権分配の優先順位は、1)両親共同、2)どちらか一 方の親、3)子供がそれまで暮らした家に住んでいる方の親、4)子供に適切 な指導とケアを与えられると裁判所が判断した第三者、となっています。 子供を連れて日本に帰ることは絶対に避けましょう。パートナーが警察に 誘拐罪として訴えることができます。また、子供を置いて日本へ帰国する 場合も後々親権問題に不利に働き、親権を失ってしまうこともあるので、 注意しなくてはなりません。
財産分与
不動産、物、財産(年金等、目に見えないもの)が有ります。相手に慰謝料も請 求することができます。二人で築き上げた資産は50/50の折半が一般的 です。
養育費
養育費を払う義務のある人の支払い能力や子供の数により、毎年作成さ れるFederal Child Support Guidelinesを元に決定されます。
弁護士への依頼
弁護士を雇う利点
離婚の法律は専門的で複雑なため、個々の離婚ケースは各々異なります。 親権問題、養育費、不動産等資産の分与などに関して二人の間に争いがあ る場合は、弁護士に依頼することをお勧めします。そのケースが複雑であれ ばあるほど、弁護士の力が必要となります。裁判所に行かず、弁護士を加え て両者納得いくまで話し合うことにより、体力、時間、費用を軽減すること ができます。離婚は新しい人生の再スタートといった姿勢で前向きにとら え、最善のスタートをするためにも、弁護士に相談することは大切です。
弁護士費用
弁護士に相談する場合、多くの場合初回は無料です。通常、簡単なケース で、弁護士費用は$1,500位、複雑なケースであれば時間でのチャージとな り、1時間$350程度です。信頼できる弁護士を見つけ相談しましょう。弁 護士費用を抑えたい場合は、ある程度書類を自分で仕上げて、弁護士に 確認してもらうと短時間で済みます。
各種サービス
- ファミリー・ジャスティス・カウンセラー
無料で離婚問題の相談にのってもらえる。
www.ag.gov.bc.ca/family-justice/help/counsellors/index.htm - BCハウジング・アシスタンス
子供の居る低所得の家族に家賃の一部を負担してくれる。
www.bchousing.org/programs/RAP - Child-Care ?Subsidy
子供のデイケア費用を政府が援助してくれる。
www.mcf.gov.bc.ca/childcare/subsidy_promo.htm - バンクーバー・アンド・ローアーメインランド・マルチカルチュラル・ファ
ミリーサポートサービス(VLMFSS)
シングルマザーの相談。日本人スタッフが対応。
www.vlmfss.ca - リーガルサービス・ソサエティー(Legal Services Society)
低所得者のために弁護士費用を援助してくれる機関。
www.lss.bc.ca